2020年8月16日前後にGoogleの検索アルゴリズムの大きな変動を観測しました。
また、2020年7月~8月はSERPsが不安定な状態でしたが、大きな変動は観測されていません。
この記事では、弊社ツール「Keywordmap」のデータを分析し、今回のSERPs変動の傾向やサイト運営における今後の推奨アクションをまとめています。
今後のサイト運用の参考にしていただけると幸いです。
なお、推奨アクションは現行のアルゴリズムに基づき提案しています。今後再びアルゴリズムの調整やアップデートがあった場合には、推奨アクションが変更される可能性もあることにご留意ください。
調査のハイライト
今回の調査では以下の傾向が見られました。
・動画評価に調整が掛かった可能性がある
特に、howto系のクエリにおいて、動画の評価が高まっている可能性がある。
・キュレーションサイトの全体的な下落傾向が観測された
これより、良質なサイトから多く情報を参照することで評価を維持できる可能性がある
上記に関する調査結果とそれに基づく推奨アクションをご説明します。
SERPs変動の概要
弊社ツールであるKeywordmapにおいて、8月16日~8月17日に比較的大きなSERPs変動が確認されました。
他社観測ツールにおいても、8月16日~8月17日前後においてSERPs変動が確認されており、当該タイミングでの変動は日本だけでなく全世界的でGoogleの検索アルゴリズム に何かしらの更新が加えられた結果であると想定されます。
SERPs変動分析
8月11日の大規模な変動はエラー
8月11日、海外の一部のツールでSERPsの大きな変動を観測していました。しかし、変動を観測できたツールは限定的でした。
これは、当時の変動が一時的な変動であったためと想定されます。
この変動については、Googleのインデックスシステムのエラーによるものと言えそうです。
変動があった日に、GoogleのJohn Muller氏がTwitterでインデックスシステムに障害があったことを言及しています。
Google WebmastersのTweetによれば、8月12日にはエンジニアによって修正され、この問題は軽減されたようです。
今後、変動があったタイミングでは、今回のようなエラーが要因である可能性もあることから、慌てずにまずは静観する事が望ましいとも言えます。
8月15日周辺の変動はエラーかテストによるものである可能性
Barry Schwartz氏の記事にもあるように、米時間8月15日、日本時間8月16日に様々な領域、タイプのサイトにおいて大規模な変動が確認されたと、世界中のSEO担当者がこの変動に反応していました(https://www.seroundtable.com/big-google-search-algorithm-ranking-update-29953.html)。
SEO担当者はコアアップデートではないかと反応していましたが、Googleからの言及は無く、非公式の変化であったと言えます。
この時期に変動があったサイトを確認すると、一時的に検索結果へのヒット数に変化が見られたものの、その後もとに戻る結果となっていました。
この事象から、8月15日周辺の変動はエラーであるか、Googleが何かしらのテストを実施した結果発生したものと想定されます。
この時期に検索へのヒット数に変化があったサイトについて、順位に変化があったクエリを確認すると、人名クエリに変化が多く、人名検索におけるテストが行われた可能性が示唆されます。
インドでは、8月11日から「People Cards」という人名クエリの検索結果に個人が設定した情報を表示させるサービスがローンチされています(https://india.googleblog.com/2020/08/introducing-people-cards-virtual.html)。
GoogleがPeople Cardsをローンチしていることからも、人名クエリの検索結果の最適化に注力していると考えられます。
すなわち、今回の変動についても、人名クエリの最適化を推進するためのなんらかのテストが行われた可能性があると言えそうです。
動画評価に調整が掛かった可能性
SERPsが不安定であった7月28日前後において、動画コンテンツを多く保有するサイトで+の変動が確認されました。
これより、動画コンテンツの評価に調整が掛かった可能性が想定されます。
You Tubeはもちろんですが、レシピやメイクの動画コンテンツを提供するサイトで上昇傾向が見られます。
例えば、レシピの動画コンテンツを提供しているdelishkitchen.tvでは、過去半年の間上昇が停滞していましたが、この期に上昇に転じています。
メイク動画コンテンツを提供するbybirth.jpは、もともと流入は上昇傾向でしたが、変動後はさらに伸び率が増加しています。
一方、www.hulu.jpやwww.netflix.com等、映画コンテンツを提供するサイトでは一時的に上昇に転じたものの、その後もとに戻る経過を経ていました。
上昇傾向のサイトと下落傾向のサイトでは、提供する動画コンテンツの種類に違いがあると想定され、特にhowto系の動画が評価されている可能性が考えられます。
例えば、7月28日以降に上昇したkurashiru.comでは、レシピ動画(howto系)が提供され、上昇が観測されなかったwww.netflix.comでは、howto系ではなく、エンタメ型の動画コンテンツが提供されています。
上昇サイトの獲得クエリを確認すると、howto系のクエリで上昇している傾向があり、Googleがhowtoの検索意図に対して動画のユーザビリティが高いと認識していると想定されます。
ここから、Googleはユーザーの検索行動からhowto系の情報をテキストより動画で取得したいと考える検索ユーザーが多いと認識し、それによって検索結果上位に表示するページが変更された可能性があると言えます。
これより、Googleはユーザーが情報取得に際して求めているフォーマットを考慮してコンテンツを評価している可能性があると考えられます。
今後、howto系のコンテンツを提供する際には、動画コンテンツを活用することも検討できると考えられます。
キュレーションサイトの評価が減少傾向
2020年5月以降、キュレーションサイトで継続的に獲得キーワード数が減少傾向にあることが確認されています。
例えば、togetter.comやlocari.jp、gunosy.com等で下落傾向となっています。
しかし、中には下落していないキュレーションサイトも存在しています。
例えば、女性向け総合キュレーションサイトでは、mery.jpや33q.jpでは下落傾向であるのに対し、trilltrill.jpや4meee.comでは下落が認められませんでした。
以下の表のように、この変動推移が異なるサイト間で、様々な指標の差分比較を行いましたが、明確な差分は認められませんでした。
しかし、1インデックスあたりの「外部発リンク数」と「発リンク先サイトの評価」で、下落傾向サイトと非下落傾向サイトとの間に差が見られ、ドメイン評価の高いサイトへの発リンクが多いサイトがポジティブな影響を受けている傾向にあると示唆されました。
そこで、女性向け総合キュレーションサイト、男性向け総合キュレーションサイトの上昇傾向ドメインと下落傾向ドメインについて、それぞれ、下記指標を取得し、上昇・下落間での差分比較を実施しました。
・インデックス数(site:ドメインのGoogle検索コマンドを利用)
・発リンク数(ahrefs)
・リンク先ドメイン評価(ahrefs:発リンク先サイトのドメイン評価(DmainRating)の総計)
・リンク先ドメインオーガニックトラフィック(ahrefs:発リンク先サイトのオーガニックトラフィックの総計)
・1インデックスあたりリンク先ドメイン評価
・1インデックスあたりリンク先ドメインオーガニックトラフィック
その結果、上昇傾向サイトのほうが、下落傾向サイトに比べ、1インデックスあたりの発リンク数、ドメイン評価、オーガニックトラフィックで高い値が見られました。
これより、各ページで発リンクが多く、より良質なサイトへリンクが設置されているサイトをGoogleが高く評価している可能性があると言えます。
Googleがリンク先を情報参照元として認識していると仮定すると、この結果から、Googleはリンク先のサイトの評価を参照し、評価の高い情報源から多くの情報を掲載しているキュレーションコンテンツの場合は、ユーザーにとって有益なコンテンツとみなして一定の評価を維持する可能性があると想定されます。
そのため、情報集約型のページやサイトを扱う際は、信頼性が高い情報源からより多くの情報を参照することが望ましいと考えられます。
今後の推奨アクション
大規模なSERPsの変化が発生した際には静観する
Googleのエラーによる一時的な変動である可能性があるため、まずは静観し、経過観察のうえで対応を検討することが望ましいでしょう。
画像や動画を活用し、リッチ化を図る
画像・動画を活用し、コンテンツをリッチにすることで、UX向上を図り、Googleからの評価を高めて、検索結果で上位に表示されやすい状態とすることを推奨します。
信頼性の高いと思われるサイトへリンクを設置する
情報を引用したり参照したりする場合、信頼性が高いと思われるサイトから情報を取得し、ページへのリンクを設置することを推奨します。
規模は大きくないものの7月には、SERPsが不安定な状態を観測し、8月にはGoogleのエラーやテストによる影響が見られました。
前回のアップデートでは画像に関する評価の重要性に触れましたが、今回は動画コンテンツの重要性の向上が認められました。
このような傾向から、これからのGoogleは今まで以上にUXが高いサイトを評価する傾向が高まると考えられます。
そのため、情報を適切にGoogleに伝え、サイトの信頼性向上を図り、あらゆる指標において、ユーザーファーストのサイトを構築していく必要があると言えそうです。
今後の施策に本記事が参考になれば幸いです。
ここから先は最近のGoogleに関連するニュースや仕様変更についてまとめています。
アルゴリズムアップデートレポートについて
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Googleの検索機能に関するニュース
ローカルビジネスのGoogle保障がアメリカで試験的に開始
ローカル検索のビジネスリスティングにGoogleが審査・認定したローカルビジネスに保証マークが付与される試験が開始されました。
これは、Google経由で申し込まれたサービスに満足できない場合はGoogleが返金保証するものです。
本来はローカル検索広告の1プログラムですが、現状は試験的に月額米50$で提供されています。
日本にはまだ来ていないサービスですが、日本でリリースされれば大きな反響を呼ぶと想定されます。
構造化データはどこでもマークアップするとよい
https://www.semrush.com/blog/how-to-leverage-structured-data-to-outrank-your-competitors/
Gary Illyes氏がSEMrush のインタビューでモバイルフレンドリーであることと、ページスピードに影響を与えなければ、どこでも構造化データをマークアップするとよいと回答しました。
リッチリザルトに影響が無くとも、UXに影響が無ければ、構造化データを活用してGoogleにコンテンツの情報を伝達することは、今後重要性が増していく可能性も考えられます。
MFIの強制移行を2021年3月末まで延期
当初は2020年9月までにすべてのサイトでモバイルファーストインデックスに移行予定でしたが、世界を取り巻く、新型コロナウイルス感染症の影響で2021年3月末まで延期が発表されました。
延期されてはいますが、全サイトがモバイルファーストインデックスの対象となることは変わりありませんので、モバイル対応を推進が推奨されます。
https://webmasters.googleblog.com/2020/07/prepare-for-mobile-first-indexing-with.html
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