Googleは2020年5月5日にコアアルゴリズムアップデートを行ったことを発表しました。
今回は弊社ツール「Keywordmap」のデータを分析し、SERPs変動の傾向やサイト運営における今後の推奨アクションをまとめました。是非今後のサイト運用の参考にしてみてください。
なお、推奨アクションは現行のアルゴリズムに基づき提案しています。今後再びアルゴリズムの調整やアップデートがあった場合には、推奨アクションが変更される可能性もあることにご留意ください。
▶2020年5月5日のGoogleコアアルゴリズムアップデートの変動概要はこちら
調査のハイライト
分析の結果、今回の変動には下記3点の傾向傾向が見られました。
- 特定の領域においてインデックス数が多い方が評価を獲得しやすい
- 画像ニーズがある領域では更新性の高さが重要視されるようになった
- YMYL領域において、メディアサイトが上位に表示されるようになった
ここからは分析結果の元となる調査内容と、この結果を踏まえた推奨アクションを説明していきます。
SERPs変動の概要
まずは今回のSERPs変動の概要を振り返りましょう。
Later today, we are releasing a broad core algorithm update, as we do several times per year. It is called the May 2020 Core Update. Our guidance about such updates remains as we’ve covered before. Please see this blog post for more about that:https://t.co/e5ZQUAlt0G
— Google SearchLiaison (@searchliaison) May 4, 2020
当初、最新のコアアルゴリズムの展開には1~2週間程度かかると言われていました。その発表通り、2週間後の2020年5月19日にはアップデートが完了した旨がGoogleの公式アカウントにてアナウンスされています。
The May 2020 Core Update is now rolling out live. As is typical with these updates, it will typically take about one to two weeks to fully roll out.
— Google SearchLiaison (@searchliaison) May 4, 2020
弊社ツールKeywordmapでは実際に2020年5月6日から大きな変動を計測しています。また、Googleの発表通り5月16日、17日にもSERPsに変化が見られました。
今回のコアアルゴリズムアップデートはドメスティックなものではなく、世界全体で一斉に展開されています。そのため、mozcastをはじめとした様々な変動計測ツールでも変動が観測されています。
SERPs変動分析
調査方法
今回は特に順位変動が大きいドメインをSERPsデータから特定し、その影響を調査しました。
具体的な手順は以下の通りです。
①調査対象キーワードのSERPsデータを取得
②取得したデータをドメインを軸にクロス集計
③変動前後の獲得キーワード数、想定流入数の増減を確認
④大きな変動が発生した各ドメインの影響や考えられる要因を調査
以降で調査によってわかったことを解説していきます。
テーマ性の再評価
Googleは特定のサイトの専門性とサイト規模の重要度を変更した可能性がある
今回のアップデートでGoogleは特定のサイトの専門性と、サイト規模の重要度を変更した可能性があります。
変更後のアルゴリズムでは、特定のカテゴリに特化している、もしくは特定のカテゴリに対して高い専門性があるといったサイトの専門性と、コンテンツの数によるサイト規模を特に重要視していると考えられます。
専門性をどのように判断しているかは定かではありませんが、内部リンクで集約されたカテゴリやタイトルを元に判断していると想定されます。
コンテンツ数の算出には「site:」値で概算を計測する方法があります。この数値についてGoogleのジョン・ミューラー氏は、「人為的なもののためあまり仮説には用いない」としています。しかし他に適切な方法がないため、今回はこちらの数値を概算値として採用し、検証しました。
Site-queries are always artificial, so I wouldn't make too many assumptions there.
— 🍌 John 🍌 (@JohnMu) March 13, 2020
特定のテーマにおいて流入が増加/減少した事例
特定のテーマにおいて特に影響を受けたサイトの事例を用いて流入が増加/減少した事例をご紹介いたします。
【デート】
デート領域の中でも、特にplay-life.jpやenjoytokyo.jpのようなコンテンツ数が非常に多いサイトはアップデートのタイミングで獲得キーワード数や想定流入数が増加しています。一方、上記2サイトより規模が小さいサイトでは、獲得キーワード数や想定流入数が減少していました。
【観光】
観光領域においてもデート領域と同じ傾向が見られました。アルゴリズムのアップデートのタイミングで、規模が大きいサイトの獲得キーワード数と想定流入数が増加している一方で、規模が小さいサイトは減少していることが確認されました。
以上の事例から、アップデートによって特定のサイトの専門性やサイト規模がより重要な評価指標となるよう変更された可能性があると考えられます。
人名クエリにおけるSERPs傾向の変化
調査の結果、人名クエリにおいてSERPs傾向の変化を確認しました。
InstagramやPinterestなどの画像投稿をメインとするドメインでは、人名クエリの順位が上昇する傾向が見られます。このことから、人名クエリにおける画像の重要度が高まったと考えられます。
▼Instagramの獲得キーワードの順位推移
また、更新性が高いSNSほど上位に表示されやすい傾向も見られました。以下は人名クエリの検索結果ですがそれぞれ特に更新され、注目されているSNSが上位に表示されていました。
なお、対象人物がSNSアカウントを所持していない、もしくは所持していても更新頻度が少ない場合は、第三者が画像を投稿するPinterestなどのサイトが上位に表示されています。
▼Pinterestの獲得キーワードの順位推移
この傾向は、有名人だけではなく社名や商品名、一般人の名前にも当てはまります。そのため、人名、商品名クエリで更新性の高いSNSが上位を獲得する傾向をブランディングに活用することもできるでしょう。複数のSNSの更新性を上げることで、指名クエリのSERPsを自身のSNSアカウントで占有することも可能であると想定されます。TwitterやInstagram、Youtubeなど様々なプラットフォームにおいて更新性を高めていくことを推奨します。
信頼性評価の変化
人名クエリではSNSや画像サイトの順位が上昇し、流入が増加する傾向が見られますが、SNSや画像サイトよりも下位に位置するサイトは評価が見直されている可能性があります。
例として、www.oricon.co.jpなどの大手サイトの評価が高まり、順位上昇、流入増加する傾向が観測されました。
▼www.oricon.co.jpの順位推移
変動が激しいクエリの「三又又三」と「kabaちゃん」について詳しく見てみると、徐々に大手サイトの上位占有率が高くなっていることが分かります。
▼「三又又三」のヒットドメイン
▼「kabaちゃん」のヒットドメイン
5月5日時点ではshounenki.jp、windy-windy.netといった個人運用のメディアが上位を獲得していましたが、5月21日時点では個人メディアは上位に表示されなくなっています。
前述のとおりサイトの規模については、「site:」を使用したインデックス数の概算値で算出することができます。絶対値で判断しているのではなく、同じ領域で表示されている他のサイトの想定値を比較して、サイト規模の大小を判断されていると思われます。
上記の結果から、比較的サイト規模が小さい個人運用サイトなどは流入が減少傾向にあることが分かります。
YMYL領域における評価の見直し
アップデートによる変動後、「ニキビ」「脱毛」「エイジングケア」といった一部のYMYL領域でメディアサイトが上位に表示されるようになりました。
今までこの領域はクリニックサイトや製薬メーカーサイトでなければ上位獲得が困難な領域でした。
今回メディアサイトが上位に表示された要因はまだ特定できておらず、仮説を検証中です。その途中結果になりますが、今回は検証内容の一部をお伝えできればと思います。
上昇要因の仮説について
差分が確認できないもの
- サイト規模
- 被リンク
- SNSでのエンゲージメント
検証中
- 直帰率
- 滞在時間
- 流入元
- 発リンク
大手ドメインの評価向上
信頼性評価の変化でご説明したとおり、大手ドメインの評価が向上しやすい傾向が見られます。特にルートドメイン(※)単位でページを多く保持しているドメインの評価が向上する傾向が観測されました。
(※)ルートドメイン…取得ドメインのサブドメイン部分を除いたもの
大手ドメインの獲得KW数推移
▼excite.co.jpの獲得KW数推移
▼rakuten.co.jpの獲得KW数推移
▼yahoo.co.jpの獲得KW数推移
重要なのはサブドメインを含めたサイト規模ではなく、ルートドメインに紐づくページ数が多いことであると考えられます。
今後の推奨アクション
今回のコアアルゴリズムアップデートの調査を踏まえ、下記の3つの施策を進めることを推奨します。
①ページ数を増やす
現状のアルゴリズムではサイト規模が大きいほうが有利になる可能性があります。そのため、質の高いコンテンツを作成し、サイトに追加していくことが望ましいと考えられます。また、動的にページを生成し、効率的にページを増やすことを検討しても良いと思います。
②SNSにフルネームや製品名等を入れ、更新性を高める
複数のSNSの更新性を高めることで、指名検索のSERPsの占有が可能になると想定されます。ブランディングの観点でも有効と言えるでしょう。
③YMYL領域では記事コンテンツでの順位上昇を図る
メディアに対する評価が見直された可能性があり、以前と比べ記事コンテンツで上位を獲得しやすい傾向にあると想定されます。一度順位が下落したサイトでも、リライト等によりユーザーニーズを踏まえたコンテンツに作り直すことで、再び上位を獲得できる可能性もあるでしょう。
今回の変動で自社サイトの流入が大きく減少したご担当者様もいらっしゃるかと思います。
本レポートの内容が次のアクションの参考になれば幸いです。
※推奨アクションは現行のアルゴリズムに基づき提案しております。今後再びアルゴリズムの調整やアップデートがあった場合には、推奨アクションが変更される可能性もあることにご留意ください。
Google検索機能・仕様変更
ここからは最近Googleが行った仕様変更についてご紹介していきます。
よくある質問に本人が動画で回答する機能を追加
Googleは著名人の名前で検索したときに、その人についてよく聞かれる質問に本人が動画で回答する新機能を追加しました。
https://japan.googleblog.com/2020/05/SearchQuestionsAnswered.html
既に「ローラさん」や「松岡修造さん」が回答を行っています。
古いコンテンツへの対応方法について
海外の投稿型サイトRedditにおいて、Googleのジョン・ミュラー氏が古いコンテンツの対処方法についてアドバイスしました。
『クローラーは古く更新されていないコンテンツをあまりクローリングしないため、noindexなどの対応しても特にクロールバジェットの節約にはならない。
古いコンテンツの対応に時間を割くよりも新しいコンテンツの作成に集中することが大事である。』と述べました。
GSCでSpecialAnnouncementのサポートを開始
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染拡大防止への取り組み情報の構造化マークアップのレポートが、Google Search Console上で確認できるようになりました。
リモートマークアップの追加
リモートワークが可能な特定の求人において、リモートワークマークアップが可能になりました。
▽▼▽アルゴリズムアップデートレポート▽▼▽
アルゴリズムアップデートについて詳しく解説したレポートを【無料で】ダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。