デジタルマーケティングに関わる方々には周知の事実ですが、Googleは1年間に3回~4回ほどコアアルゴリズムアップデートと呼ばれる公式のアルゴリズム更新を実施しています。
また、それに加えて未公表のアルゴリズム更新(調整)は日々リアルタイムに行われていると想定され、昨今ではGoogleの検索結果は非常に流動的なものになっています。
そうした動きに対して、弊社では定期的にランキングアルゴリズムの傾向について分析を行ってレポートをリリースしているのですが、今回の記事ではそうした調査の中で見えてきたレシピ領域の特徴的な変動傾向にフォーカスして深堀りを行いました。
その特徴を端的に言うと「Googleの検索結果が一覧ページ化していく傾向」ということになるのですが、これはレシピ領域に留まらず、Googleの検索結果に対する今後の方針が伺い知れる事象だと弊社ではとらえています。
中長期的な検索エンジンとの付き合い方を考える上で参考にして頂ければと思います。
レシピ領域における検索結果変動傾向の調査
調査結果の概要
2019年11月の検索結果変動時に一覧ページよりも詳細ページが評価される傾向が強化されたと考えられる「レシピ系キーワード」の検索結果領域について、実際ランキング傾向を詳しく調査分析しました。
結果、当該領域においては、一覧ページよりも詳細ページが上位表示される傾向にあり、その傾向は過去と比較しても強化されていることがわかりました。
調査を実施した背景
2019年11月23日前後、弊社のツール(Keywordmap)でGoogleの検索結果変動が観測されました。
このタイミングでのアルゴリズム更新について、Googleから公式アナウンスはありませんでしたが、海外のものを含む弊社以外のツールでも変動が観測されたことから、何かしらのアップデートが行われた可能性が高いと判断しました。
この未公表のアルゴリズム更新の影響を調査した際、レシピ領域で比較的大きな変動が起こっていたのでドメインごとの調査を行ったところ、大型の料理レシピサイトであるクックパッドが大きく順位を下落させていることがわかりました。
あくまで弊社ツール(Keywordmap)での計測結果ではありますが、クックパッドは2019年の1年間を通して想定流入数が減少する傾向にあり、11月以降その傾向は加速しています。
一方で、同領域のデリッシュキッチン・白いご飯.com・クラシルの想定流入数は増加傾向でした。
想定流入数下落しているクックパッドが一覧ページで順位を獲得している傾向であるのに対し、想定流入数が上昇しているデリッシュキッチン、クラシルなどはレシピ詳細ページで順位を獲得している傾向にある事が認められました。
また、レシピ系キーワード領域の検索結果は、動画やナレッジグラフなど、検索結果に表示される情報のフォーマットが他のクエリ領域よりも多様という特徴も確認できました。
このタイミングではまだ詳細調査は行えていませんでしたが、こうした検索結果の変化はGoogleが今後どのような方針で検索結果アルゴリズムを調整していくのかを理解するための手がかりとなるテーマであると考えられます。
そのため、レシピ系キーワード領域において
「詳細ページが一覧ページよりどの程度上位表示される傾向にあるのか」
「過去と比較した際に当該傾向は強まっているのか否か」の2点について検証してみました。
調査方法
1)詳細ページが一覧ページよりどの程度上位表示される傾向にあるのか
- 2020年3月時点で、「料理名」「料理名×レシピ」のキーワード群(n=111)において、検索結果上位10位以内のURLを集計
- URLをページタイプに分類(一覧、レシピ詳細、記事コンテンツ、その他)し、ヒットページにおける構成比を確認
- ヒットURLにおける構成比が70%以上のレシピサイトを調査対象ドメインとして、ドメイン内のヒットページにおける構成比を確認
2)過去と比較した際に当該傾向は強まっているのか否か
- 2019年4月時点で、「料理名」「料理名×レシピ」のキーワード群(n=50)において、検索結果上位10位以内のURLを集計
- 各調査対象ドメインのヒットURLをヒットページタイプに分類(一覧、レシピ詳細、記事コンテンツ、その他)し、ヒットページにおける構成比を確認
- 2019年4月のヒットページタイプの構成比と、前述の調査で算出した2020年3月時点での構成比を比較
※記事タイプのページであっても、特定のレシピを紹介しているものは「レシピ詳細」に、複数のレシピを紹介しているものは「一覧」に振り分けを行った。
例)レシピ詳細 : https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/704422/
例)一覧 : https://macaro-ni.jp/65812
例)記事コンテンツ : https://allabout.co.jp/gm/gc/220737/
例)その他 : https://tabelog.com/rstLst/curry/
調査結果
1)詳細ページが一覧ページよりどの程度上位表示される傾向にあるのか
全調査対象サイトのヒットページタイプを順位別に比較したところ、総計ではレシピ詳細ページの構成比は65%という結果となり、検索結果上の露出の過半数を占めていることがわかりました。
順位別の構成比を見ると、やや上位レンジに一覧ページの出現比率が高い傾向が認められましたが、レシピ詳細ページは特に順位レンジごとの出現率に偏りはありませんでした。
以上の結果から、2020年3月時点で「料理名」「料理名×レシピ」のキーワード領域では、レシピ詳細ページがGoogleに評価される傾向にあり、上位獲得しやすいページタイプであることが確認できました。
次に、調査対象領域において順位を獲得できているサイトのヒットLPにおけるページタイプ構成比を確認してみました。
結果、クックパッド・マカロニを除く全ての調査対象サイトに於いて、詳細ページが構成比の60%以上を占める結果となりました。クックパッド・マカロニにおいても、それぞれ34%、41%はレシピ詳細でヒットしています。
上位ポジションを獲得出来ているサイト群のヒットLP構成からみても、詳細ページが順位獲得に有利な状況にあることがわかります。
2)過去と比較した際に当該傾向は強まっているのか否か
2019年4月と2020年3月のレシピ検索領域におけるヒットページタイプの構成比を比較しました。
2019年4月から2020年3月にかけて、対象キーワード領域のヒットページ(10位以内)におけるレシピ詳細ページの構成比は49%から65%へ増加したのに対し、一覧ページは40%から24%に減少していることがわかりました。
順位別にみてみると、1位~3位というより上位のポジションにおいて、レシピ詳細ページがヒットしやすくなっていることがわかります。
レシピ詳細ページがGoogleに評価され、上位を獲得しやすい傾向が高まっていることが伺えます。
結論と推奨アクション
調査の結果、レシピ系キーワードの検索結果において、Googleは一覧ページよりも詳細ページを評価する傾向を強化していることがわかりました。
料理名で検索を行うと、いままではクックパッドに代表される料理レシピの検索結果一覧ページが多く表示されていましたが、現在では特定の料理レシピの詳細ページが表示されるようになったということです。
このことはGoogleの検索結果自体が詳細情報の一覧ページとして機能し、ポータルサイトの一覧ページを飛び越えて、検索者が直接詳細情報を手に入れることが出来るようになっていることを意味します。
Googleは常に検索者の利便性を図ることに腐心しているので、”出来る限り早く”検索者が求める情報にたどり着けるように、このような検索結果を意図的に作り上げていることが想定されます。
そして、レシピ領域におけるこの取り組みが検索者の利便性を向上したとGoogleが判断した場合には、レシピ領域以外のカテゴリでも、現在一覧ページが上位表示されている検索結果において、同じようにアルゴリズムが調整されていく可能性があることを意味します。
例えば、「六本木 焼き肉」で検索した際、現在ではポータルサイトの一覧ページが検索結果の上位を獲得する傾向にありますが、これが各飲食店のサイトやポータルサイトの店舗詳細ページが検索結果の上位を獲得する傾向に変わり、Googleの検索結果自体が「一覧ページ」としての役割を担うというイメージです。
現時点でも飲食店検索の上位にはGoogleマップが表示されており、ポータルサイトを介さずに、個々の店舗に直接アクセスすることが可能になっていますが、さらに自然検索結果でも同様傾向になる可能性があるということです。
その他、人材領域でも検索結果上位にはGoogle for Jobsが表示されており、ポータルサイトの一覧ページを経由せずに直接検索者が詳細情報にアプローチできるようになってきています。
現時点ではあくまで中長期的なGoogleの方針を推測しているだけに過ぎませんが、今後の変化を見据えて、詳細ページの情報を最適化してくことを検討してみてはいかがでしょうか。
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弊社は定期的にGoogle検索結果表示アルゴリズムの分析を行っており、以下のリンクからダウンロードできます。
ご興味があれば是非ダウンロードしてみてください。