ソーシャルリスニングによるニーズ調査とコンテンツ企画

現在、日本のTwitterの月間利用者数は4,500万人以上にのぼり、1人1アカウントと仮定すると、日本人口(1億2618万人)の約35.6%が使用している計算になります。実際には1人が複数アカウントを所持しているケースもありますが、多くの日本人がTwitterを利用しているという事実は変わらないでしょう。

 

Twitterユーザーの「ツイート」を分析することは、消費者がサービスや商品に対して、どのような印象や要望、意見を持っているかを把握するのに役立ちます。

 

企業のマーケティングや商品開発、カスタマーサービスなどに携わる人の中には、Twitter分析を実施している、または検討している方もいるのではないでしょうか。

 

データの分析担当者には、客観的かつ定量的・定性的な調査が求められますが、Twitter分析でも同様です。SNSの分析ツールは市場に複数存在するものの、分析担当者の経験や能力により、得られる調査結果は大きく変わります。また、Twitter上のデータを分析し、ユーザーニーズを導き出す手法やノウハウは、あまり知られていないのが実情です。

 

今回は弊社のSEO/SNS分析ツールであるKeywordmapを活用した、Twitter分析の手法をご紹介します。

 

案件内容と分析の方針

弊社がクライアント様からの依頼で実施した、Twitter分析による記事の企画立案を例に上げます。下記のようなターゲット(ペルソナ)が、どのような関心やニーズを持っているかをTwitterデータから分析し、ターゲットが求めていると考えられる企画案を作成しました。

 

▼ターゲット(ペルソナ)

・採用活動について決定権を持つ人事責任者(CHRO、人事部長、人事課長など)
・積極的に情報収集を行い、採用活動を改善したいと考える人事担当者

 

Twitterのデータ分析から企画案作成までの流れは以下のとおりです。

 

▼Twitterデータの分析から企画案作成までの全体フロー

1.関連ワードの抽出
2.ペルソナアカウントの選定
3.ペルソナのニーズの把握
4.企画案の作成

 

Keywordmapの機能のご紹介と併せて、調査の方法と結果をフローに沿ってお伝えします。

 

※抽出データは執筆当時のデータであり、現在とは異なる場合がございます。

関連ワードの抽出

やみくもにペルソナとなるアカウントを探そうとしても、大量のアカウントから手作業や目視チェックで該当者を見つけるのはかなりの時間がかかります。

 

そこで、ペルソナがつぶやきそうな単語(以下、関連ワード)を予測し、Keywordmapで検索して効率的にアカウントを探しました。

 

まずは、ペルソナが興味・関心を持っている関連ワードを想像します。

 

▼関連ワード

・採用
・転職
・会社説明会 など

 

いくつか関連ワードを考えてみましたが、自分の頭だけで思考するのは限界があり、時間も掛かってしまいます。

そこで、関連ワードを拡張するために「採用」をKeywordmapのTwitter投稿一覧機能で検索してみましょう。

 

検索ボックスの下には、「採用」が含まれる日別のツイート数と累計数がグラフで表示されます。 

採用_Tweet数

 

グラフの下には「採用」が含まれるツイートを投稿したアカウントと、それぞれのフォロー数やフォロワー数、累計ツイート数、ツイート内容などが表示されます。

このツイート内容から、ペルソナの関連ワードを探していきます。

採用_Tweet

 

調査の結果、「インターン」というワードが見つかりました。ペルソナが関心を持ちそうな単語ですので、関連ワードとしてピックアップします。

採用_インターン_Tweet

 

このような要領で、関連ワードを拡張させていきます。調査で判明したペルソナの関連ワードは下記の通りです。

採用_Twitter関連ワード

 

ペルソナアカウントの選定

抽出した関連ワードから、ペルソナとなるアカウントを選定します。

 

まずは、関連ワードの1つ「リファラル採用」をKeywordmapのTwitter投稿一覧で検索します。すると、人事担当者と思われるアカウントのツイートを発見しました。

ツイート内容をクリックするとポップアップが表示され、「Twitterで表示する」ボタンを押すと、Twitter上の実際ツイートに遷移できます。

 

 

Twitterでアカウントのプロフィールと過去のツイート内容を確認します。

アカウントは企業の人事採用担当者で、採用活動に関するツイートを積極的に投稿されているとわかります。そのため、「積極的に情報収集を行い、採用活動を改善したいと考える人事担当者」に該当すると判断し、ペルソナアカウントの1つとして選定しました。



同じ要領でほかの関連ワードをKeywordmapで検索し、ペルソナに該当するアカウントを抽出します。今回は合計27アカウントをピックアップしました。

 

アカウントのツイート内容分析

アカウントの選定後は、ツイート内容の傾向を調査します。

まずは、アカウントごとにツイート内容から出現頻度の高いワード(頻出ワード)を抽出します。

 

アカウントがツイートしている文章の形態素解析を行い、各ワードを出現頻度に応じたサイズで表示した図が下のワードクラウドです(AutoScale社の分析ツール「whotwi」を使用)。

 

全アカウントの頻出ワードを抽出し終えたら、特に採用・人事に関連する単語を目視で選別していきます。

 

また、鮮度が悪い企画案にならないように、検索ニーズが直近で減少している頻出ワードを除外した上で、(Googleトレンドを使用)、合計15ワードをピックアップしました。


 

ペルソナのニーズの把握

抽出した頻出ワードのリスト(ペルソナがよく発言する採用・人事関連のワード)について、各単語からニーズを探ります。ペルソナが求める企画だということをクライアント様に納得していただくには、頻出ワードから導き出した想定ニーズが定量的、かつ定性的に裏付けされている必要があります。

 

そこで、まず定量的なデータを確認するため、Keywordmapを使用します。頻出ワードリストの1つ「市場価値」をワードマップ機能で検索しました。

 

※2019/12/9現在、ワードマップは「インサイトマップ」に変更になっております。 

 

「ワードマップ」タブの右隣には、「ワードクラウド」タブがあります。クリックすると、頻出ワードがワードクラウド形式で表示されます。

 

下図は「市場価値」のワードマップとワードクラウドを拡大表示したものです。

 

 

特に「市場価値」に関連しそうなワードとして、「転職」「低い」「大手企業」「リーマン」「スキル」「ない」などが挙げられます。

ここから、以下のようなトピックを想像してみました。

 

・「転職」による市場価値の向上
・現在の自分の市場価値の「低さ」
・「大手企業」に所属した場合の市場価値
・「サラリーマン」の市場価値
・市場価値を高める「スキル」
・自分に市場価値が「ない」

 

これだけでは抽象的で企画案に落とし込むことが難しいため、「市場価値」が含まれたツイートをTwitterで検索します。

 



ツイート内容からは、「市場価値」に関する具体的な考え方や採用市場の動向などが見えてきます。

 

▼ツイート内容から導き出せる情報

・優秀なサラリーマンは所属する企業で経験やスキルを磨いて市場価値を高めつつ、転職によってキャリアアップして、さらに自身の市場価値を向上させている。
・企業の採用担当者は優秀な人材を採用したい。そのためには、従業員の市場価値を高める環境を企業側が提供することが重要である。

 

これらのツイート内容と、ワードマップやワードクラウドから抽出したトピック「転職による市場価値の向上」「サラリーマンの市場価値」を掛け合わせ、以下のようなペルソナの想定ニーズを導き出しました。

 

▼ペルソナの想定ニーズ

・転職者が市場価値を上げるために、どのような経験やスキルを身に着けたいのかを知りたい。
・自社が転職者の市場価値を高められる環境であることを、どのように転職者に認知させるか学びたい。

 

上記の想定ニーズはあくまで一例です。分析担当者によって、内容やニュアンスが多少異なる場合もあります。

 

しかし、定量的なデータであるワードマップやワードクラウドと、定性的で具体的なツイート内容を参考にすることで、分析担当者の個性や経験による嗜好・偏見を極力省き、客観性のあるニーズを導き出すことができます。

 

同様の手法で、各ワードから想定されるペルソナのニーズをまとめました。

 

企画案の作成

調査したペルソナのニーズを企画案に落とし込みます。

今回は多くの企画案を提案する必要があったため、作成した「ペルソナのニーズ」に「記事のテーマ」を掛け合わせて企画案を作成しました。

 

▼記事のテーマ

・成功事例
・失敗事例
・あるある、悩み
・新しい形
・データで示す など

 

例えば、以下のニーズと、記事のテーマを取り上げます。

 

▼ペルソナのニーズ

・Wantedlyで良い人材を採用する手法や転職者探しに適した時期、プロフィールから自社に合う人材を判断する方法を知りたい

 

▼記事のテーマ

・成功事例

 

両者を掛け合わせると、「Wantedlyを活用した採用活動の成功事例」という企画案を導き出せます。

 

同じように「ペルソナのニーズ」と「記事のテーマ」の掛け合わせて、企画案を作成しました。


 

本調査では20個のペルソナのニーズと、6個の記事テーマを掛け合わせ、合計120個の企画案を作成しました。

 

この企画案をもとに、弊社コンサルタントがクライアント様と打ち合わせを行ったところ、

 

「A軸とB軸は◯◯の切り口で抽象化してまとめられそう」

「関連して◯◯の方面にテーマを拡張していけそう」

 

など、建設的な意見をいただきながらディスカッションを進められました。

まとめ

今回はTwitter分析を用いたユーザーニーズ調査と企画立案の手法をご紹介しました。

 

【分析のポイント】

1.ワードマップやワードクラウドを活用することで、抽象的で定量的な情報を把握できる。
2.Twitterの投稿内容から、具体的で定性的な、ペルソナにまつわる情報を抽出できる。
3.「1」「2」を組み合わせて、定量的で客観性のあるペルソナのニーズを導き出せる。

 

本調査で使用した弊社CINCのKeywordmapでは、Twitterのツイート内容の抽出や、キーワードごとのワードマップ、ワードクラウドの閲覧ができます。

 

ほかにも、特定のワードを含んだツイートが投稿される時間帯・曜日・アカウントの傾向を調べる機能や、各ツイートの投稿者が「楽しみ」「愛情」「怒り」「悲しみ」「恐れ」「ニュートラル(中立)」のうち、どのような感情を抱いているかを分析する機能なども搭載されています。


Keywordmapによるデータ分析を応用することで、「記事コンテンツの企画」だけではなく、「効果的・効率的な顧客開拓の戦術立案」や「新規商品・サービスの開発」など、さまざまなマーケティング施策に役立てることができるでしょう。データドリブンなマーケティングの推進に役立つKeywordmapをぜひご検討ください。